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多摩NPOセンター運営会議/岩手県・市民主導共同建替え長屋暮らし

午後、多摩市のNPOセンター運営会議の役員会開催。これまで、2つのNPO団体が運営を受託してきた所から、今年度は新たなステージとして、市とパートナーシップ協定を結んだ「多摩NPOセンター運営会議」が運営責任を負うこととなった。

「官から民へ」→「私→公へ」を経て、この8~10年間で市民活動団体等が活動する環境も大きく変わった。と同時に、ニーズや、地域経営を担う、新たな「公」を担うのは「官」のみでならないのはもちろん、「民」だけとも限らない。
官民パートナーシップ体が、責任とリスクを負い合いながら、潜在的ニーズを掘り起こしていくことが必要としている。

多摩市の場合、多摩ニュータウン地域への政策や長期ビジョンはほぼ無いに等しい。ストック活用や、地域づくり、地域経営、自治のシステムなど、地域住民が創っていく必要がある。
多摩NPOセンターは、公的施設であり、市民全体が利用する目的がある。中心市街地ではない、学校廃校施設を使って、最寄り駅から徒歩15分という立地にそのような施設がふさわしいのか?
NPO(ここでは広義に市民活動団体全てを含む(任意団体も))団体に対し、どのようなことが必要なのか、逆に多摩市にとって市勢を向上させるのに何が必要なのかをこの1年かけて検証し、思考していく。
場合によっては、廃止もあり得る正念場となろう。

私も、昨年度の多摩NPOセンター市民会議を経て、会議世話人、そして今年度からスタートの運営会議の副代表となった。私の立場では、行政とのパートナーシップの構築や、市民ニーズの創発、学校廃校のあり方、永山地区の住民ニーズなどに関心を持ち、運営会議の運営に関わるつもりとしている。

多摩市には役所縦割りの中で類似施設も多いと感じる。無駄のない、効率的で、かつ特にニュータウン地域の自治が育まれていくことも念頭に、潜在的なニーズに応えていけるような存在?施設?であったらよいなと、永山在住市民としての立場では強く感じる。

私の場合は、住民と、多摩大学の非常勤教員として地域に関わるゼミナール主宰者の立場での参加である。
運営会議体への参加資格は、後者のほうだ。
それぞれ会議に登録された人は、市内で何らかの団体活動を行っている者が参加資格となっている。当初は応募者19名が委員として参加する。
「人々が日々集い、市民ネットワークをつなぎ、地域や社会を変えていく、形と力を生み出すところ」という伽地位フレーズとなった。


会議が白熱し長引いてぎりぎり次の会の会場渋谷へと急いだ
私のとってのインプットの時間。
都市住宅学会研究会関東支部民間非営利組織住宅事業委員会公開研究会主催の
「土澤商店街「新長屋暮らし構想」(岩手県花巻市)」
 報告者:岡田 昭人氏(早稲田大学年・地域研究所客員研究員)

旧岩手県東和町、自称「限界商店街」の商店主や住民が、LLC(合同会社)を設立して事業主体となり、共同立替事業に取り組む。コレクティブタウンを構想、まちづくり会社を3セクで設立。エリアマネジメントを展望したまちづくりファンドの組成、、地域のあかみさんたちが総菜屋やコミュニティレストランを起業する準備中。

こんな話題で、専門家である、岡田さんからの報告を伺った。
私も現在、多摩ニュータウン諏訪において、商店街主体の出資会社、地域住民の自治による地域再生を構想しており、大いに参考となった。
岩手県の過疎の地も東京の多摩ニュータウンの街区も問題としては同じである。

旧TMO組織として創られた株式会社土澤まちづくり会社は、3セクだ。市と市民が500万円づつ出資している。取締役会には行政が直接参加せず、自立性を確保、また、経営責任を行政にしないという方針のもと運営。一方、行政は筆頭株主としての権限を持つという。
地域柄がうかがえるような状況となっている。

建替え事業施工主は、「LLC土澤長屋暮らし」。そのコンサルタントを、株式会社土澤まちづくり会社が担っている。そしてコーディネート支援を、岡田さんが参画する早稲田大学都市・地域研究所が専門家として関わっている。

さまざまな補助金や、支援策を駆使しているところから、地元の調整、権利義務調整など、それらに熟知した人材は不可欠であり、民間デベロッパーではまずできない仕事と化している。調整期間も7年かかっている。

新・長屋では、建替えは、都市計画道路線がかかっているためセットバックとなるが、それでは、十分な敷地が確保できない、そこで複数の地主が共同で建替えるものだが、1F店舗部分は共有化の共同店舗、2Fの住居部分を高齢者向け賃貸住宅、3Fを個人所有としている。

これは、公的出資(補助金)と市民ファンドが組み合わさった事業スキームとなっている。
今年秋着工の予定である。

特筆すべきは、
●まさに「市民事業」であり。行政主導の「まちづくり」から、まちの再生計画を専門家の支援を得ながら市民が創ることの実践。
●事業利益をあげることを目的としない資金計画。事業利益は、地域に再投資できる仕組みをセット。

この事例は、イギリスで最近行われているまちづくり事業に類似していると思われ、わが国の地域再生、自治構築に非常にあっていると考えられる。

タウンマネジメント、地域経営へリスクを負いながら、連携して参画する専門家の登場とその資金を、地域合意の基に自ら創り出せる資質をもったプロデューサーの存在が光る。
岡田さんの今後の活躍が楽しみである。