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民による地域経営−「ユーカリが丘」へ行ってきました

7月20日(月)、千葉県佐倉市にある、民間デベロッパーによる地域経営(エリアマネジメント)が行われている郊外型都市「ユーカリが丘」へ行ってきました。

行きは、東京駅から高速道路利用で60分。帰りは、鉄道利用してみました。
都心からの距離は、多摩ニュータウンとほとんど変わらない距離だ。自動車では佐倉方面の渋滞が無ければ、60分いないで到着するから、かえって便利である。鉄道ではさすがに1時間と少しかかるのと、料金は比較的高い。

ここは、山万株式会社というデベロッパーが1971年開発着手していますから多摩ニュータウン諏訪/永山地区とほぼ同じだ。
200ha程の区域だ。
違うのは、未だ開発進行中というところだ。まだ未開発の土地を残しておりこの先数十年間は開発が続けられる。
多摩ニュータウンんなどの公的団地と違うのは、年間建築軒数が今は、20軒となっていることだ。つまり、一気に開発したことによる固まりの層が、一気に高齢化をして都市問題にりつつあるのとは全く違う。初期入居者が高齢化しつつも、若い世代もどんどん入ってきているから、高齢化率は上がらない。そして開発から38年、いまでは高齢者の為の施設建設も進めているのと同時に、周辺部にグループホームや、老人ホーム、また駅前に子育て支援施設の設置も行っている。まさにこの街で一生過ごせ、子世帯、孫世帯までが同じタウンに住むことが可能だ。
そして当然ながら人口も世帯数も増加中だ。市役所も税収UPにつながる。

「千年優都」をテーマに掲げて取り組んでおり、民間がリスクをとりながら、売り逃げ(分譲して終わり)ではなく、街の成長、経営を主体者として行っている点が注目される。
ここでは、「山万」が主体者の一つともなっていて、地域住民からあらゆる機会を通して意見を聴取し、責任もって開発を進行している。少なくともそこには、「住民で考えてください」「住民にお任せします」というキ−ワードは存在しない。

1982年に開業され、鉄道事業者ではない民間企業が新交通システムを運行しているのは驚きだ。山万ユーカリが丘線。これも街の経営をいう視点の中に不可欠なものとなっている。京成ユーカリが丘駅でリンクしており、開発地内をループ上に巡っている。
一周乗車してみたが、すぐに普通の電車の様子と違うことを発見した。天窓が全て全開になっている。エアコンが無いのだ。
聞くと、トンネルの建築限界の関係で、車両天井にエアコンが装着できないそうで、次期新型車両開発の段階でのエアコン導入となるようだ。まぁ、ファンがまわっているので、苦しい暑さでは無かったが、梅雨時の雨天時はどうなのかと思った。
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実は、どのように住民の合意形成を行っているのかということにも興味を持っていましたが、そういう発想は無く、「山万」自身が企業住民であり、企業経営=街の経営という発想だからこそ住民も安心して住み続けられるし、そのコンセプトに共感する人が移り住んでくる。

現在では、「山万」自身が、「安心住み替え」システムを提供しており、駅から少し遠いエリアにある戸建て住宅を、山万が評価額の100%で買い取り、駅前のマンションの購入をサポート、そして戸建て住宅を完全リノベーションし子育て世帯へ提供していく。買い取りと売却のマッチングを「山万」が行うので、チラシなどでの宣伝も無い。
ちなみに、「ユーカリが丘」は、「山万ユーカリが丘線」という新交通システムがあり、どの家からも駅まで徒歩10分を実現させている。

●ユーカリが丘警備
 「山万」の関連会社である、ワイ・エム・メンテナンス株式会社が、ユーカリが丘専門の警備会社として24時間365日、街の巡回パトロールを行っている。マンション管理も行っており、まさに、街の運営に必要なものは自ら行って付加価値を高めると同時に、街の防犯・防災につながっている。

グループホームと学童保育の同居、ケアガーデン
2007年に、認知症高齢者の共同生活介護施設と、学童保育施設が同居する形で誕生した。
保育料のほうは、9,000円/月だそうだ。もちろん、9,000円では、学童は赤字なのであろうが、グループホーム入居の認知症の方のケアにはこの交流は、大いに助けになるのであろう。隣には、ケアガーデン「みんなの庭」があり、ダイバージョナルセラピーのコンセプトで、公園内の歩行訓練、花壇、動物とふれあえるアニマルセラピーエリアなどなそ、セラピーの考え方で心身の活性を促すようなプログラムを実践する施設、及び研究所がある。
子ども達にとっても現代では、多世代交流は有意義なことでしょう。19時まで預かる。
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ユーキッズ
 駅前総合子育て支援センター
 いやー、ここも楽しそうです♪ 「子育て」「親育ち」「地域育て」のコンセプトで、やはり「ワイ・エ、ム・メンテナンス」が運営しています。子ども終日500円で利用でき、親も、くつろいだり、飲食も可能だ。親同士の交流も生まれることでしょう。これも、この事業自体は赤字と思われるが、地域のより良い子育て環境づくりの一環となっている。
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ハローキッズ(駅前認可保育園)
 定員120名に拡張、7児~22時。0歳児Ok。子育て支援センター(ひろば型)併設、病後児保育、休日保育可。
 いいですねぇ。
なんと、駅前なのに、大型園庭があります。

駅前も含め、ビル、街、全体を一つのデベロッパーが管理運営しているため、不特定多数の民間店舗が乱立することもなく、誘致型で必要な店舗を入れているという感じがします。

医療機関も充実している。駅前のクリニックモールに加え、「中学校駅」前に出来たビオトピアプラザにも24時営業のマックスバリューが出来たが、2F部分に、クリニックモールの開設が予定されている。

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ユーカリが丘駅前には、ホテルも運営され、地元住民の結婚指揮、七五三などの利用や、国際会議の開催、成田と東京の間にあるところから外国人観光客のベースとなたりと様々な可能性を秘めています。200室の客室、450人収容の大宴会場、400台収容の駐車場あり。

●自然
 ここは、造成された公園では無く、もともとの自然公園が随所に残され、うまく活用されている。だから住宅地との融合も自然で、落ち着きがある。家庭農園も随所に開かれている。

こちらに、2006年8月にWBSで特集されたときの模様をまとめたおられる方のブログがあります。

多摩ニュータウンとの対比を行うとすれば、
多摩は、大規模開発を公的に、一気に行い、UR賃貸住宅や、公営住宅が多く、過去hあ住居の供給、今は賃貸することや、福祉政策の実行が目的であることから街の経営、経済開発、地域経営、地域活性へのインセンティブが無いため、活性佐久は誰も行わない。

一方、ユーカリが丘は、前出の通り、民間企業がリスクを負って住民に変わり開発、運営責任を負っている。住民の声は自ら聞き、今後の計画に反映させている。売り逃げの収益構造では無いため、創業以来(当初は繊維業だったが)、五十数年、一回も赤字決算は無い。創業五十年を超えてもまだ発展している企業だ。一般株主に利益を還元することは会社の目的にも反することから株式公開はしていない。
そして自身の身の丈にあった投資が、街の成長にもぴったりだったという事なのだろうか。
もちろん、当時土地取得が安価?だったことから成り立ったのかもしれず、でも、官が土地などのインフラを安価に委ねれば、同じようなコンセプトで、既存大規模ニュータウンの再生、活性も可能なのではないだろうか?
これを解決するのが公民連携(官民パートナーシップ、PPP)事業であるはずだ。

今後、このことを探求していきます。